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1月8日(木)


電磁波「閉じ込め」成功 スタートは信大2教授の雑談


 立方体の小さな箱に電磁波を閉じ込めることに信州大、大阪大、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の共同研究グループが、七日までに成功した。理論的には光を閉じ込めることも可能で、電波望遠鏡や携帯電話、電磁波フィルターなど広い分野で応用が期待できるという。

 研究グループは信大理学部(松本市)の武田三男、本田勝也両教授、宮本欽生大阪大教授、物質・材料研究機構の迫田和彰主席研究員ら。

 宮本教授によると、セラミックの微粒子を混ぜたエポキシ樹脂でフラクタルという特殊な構造の立方体(二十七ミリ角)を作製。さまざまな周波数の電磁波を照射したところ、八ギガヘルツ(ギガは十億)の電磁波が反射も透過もせずに中央の空洞に一千万分の一秒間程度、閉じ込められることが分かった。

 その後、立方体の大きさや材質を変えることで、数ギガヘルツから百ギガヘルツ程度の周波数を閉じ込めることに成功したという。

 光は周波数が数百テラヘルツ(テラは一兆)の電磁波。光を貯蔵することも理論的には可能で、光コンピューターの部品として使う夢も膨らんでいる。

<広い分野 応用の可能性>

 今回の共同研究の発想は、二〇〇二年一月に信大で行われた大学入試センター試験で、ともに試験監督だった理学部の本田勝也教授(60)と武田三男教授(52)が、昼食休憩の際に雑談する中から生まれた。

 「三次元のフラクタルを使った実験は聞いたことがない。作ってみたら」。何分割しても、元の形と似た形が現れるような「自己相似性」を持つフラクタル構造を理論的に研究している本田教授が提案。これを覚えていた武田教授が〇三年二月ごろ、設備の整っている阪大側に、フラクタル構造を持つ立方体の作製を打診した。

 阪大接合科学研究所で行われた実験の結果について、武田教授は「電磁波を『閉じ込める』というところまでは確認されておらず、現段階では電磁波が『限られたところにとどまる』という表現が妥当」と説明。本田教授は「実用化に向けた一番の課題は、電磁波が立方体内部にとどまる『寿命』を、現在の一千万分の一秒以下から少しでも長くすること」と話す。

 電磁波が、なぜフラクタル構造を持つ立方体内にとどまるかは、まだ分かっていない。研究グループは現在、その原理の解明と、フラクタルの大きさや材質を変えた実験に取り組んでいる。武田教授は「ハードルは高いが、体に有害な電磁波をシャットアウトしたり、光コンピューターなどに応用する可能性を開いた点でも、今回の研究は有意義だ」と話している。



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