宮丸文章先生の研究が戦略的創造研究推進
事業
(さきがけタイプ) に採択されました! PART2 
●「フラクタル構造による光制御可能性の探索と光機能素子の創製」について/宮丸 文章●
《図1》 フラクタル図形:(a)H型フラクタル (b)シェルビンスキーのギャスケット (c)メンガ−のスポンジ
《図2》 フラクタル金属構造内への電磁波局在。有限差分時間領域法によるシミュレ−ション結果
 
  ■ フラクタル構造による光作用を探求すること ■   

 構造によって光の制御を行う方法として、フォトニック結晶が有名です。フォトニック結晶とは、誘電体や金属物質を光の波長程度の空間スケールで周期的に配列した構造です。この構造により光が結晶中に存在できないフォトニックバンドギャップやスーパープリズム現象など、多くの興味深い光学特性が可能になります。

 他方、周期構造以外のものとして自己相似形を特徴とするフラクタル構造と呼ばれる構造があります。フラクタル構造はそもそも数学上の概念ですが、動物の毛細血管や海岸線など現実世界にも実際に観測され、自然界はその構造を非常に有効に活用しています。このように自然界と関係深いにも関わらず、光に対するフラクタル構造の有効性というものは、いままであまり考えられていません。むしろ、フォトニック結晶と同じアナロジー(光の多重反射による干渉効果)にでは、フラクタル構造の有効性というものは考えにくいのが現状です。

 構造による光制御の方法として、フォトニック結晶とは別のアプローチとして、メタマテリアルというものがあります。メタマテリアルは波長よりも小さいサイズの人工構造の集合体です。
 
 このメタマテリアルのアナロジーを採用すると、フラクタル構造が有益な役割をする可能性があります。フラクタル構造が光に対してどのような作用を及ぼすのか、またフラクタル構造特有の光機能が発現するのか、という問いにはまだ明確な解答は与えられておらず、構造による光の制御に関する非常に興味深いテーマです。

 本研究ではフラクタル構造による光作用を探求することにより、フラクタルという特殊な空間構造による光制御の可能性を見いだすことを目指します。

 具体的には、フラクタル構造をテラヘルツ光領域のアンテナに応用したフラクタル光伝導アンテナや、メタマテリアルの“単位構造”にフラクタル構造を採用した“フラクタルメタマテリアル”を実現し、フラクタル特有の新奇な光機能発現をねらいます。

 これらの光機能素子は、現在、新しい光学素子の出現が渇望されているテラヘルツ光領域において強力なキーデバイスとなり、様々なテラヘルツ光応用技術の実用化を促進させることができるものと期待されます。


  ■ 宮丸文章先生の略歴 ■

 
 1999年に大阪大学大学院博士前期課程修了後、富士フイルム株式会社に2年間入社。2001年に大阪大学大学院博士後期課程に入学、2004年に同課程修了。同年(独)理化学研究所の基礎科学特別研究員に就かれてのちに、2006 年に本学に移られました。着任した年に、さきがけが採択されたことになります。  

  ● 戦略的創造研究推進事業とは ●

 
 戦略的創造研究推進事業とは、国の科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえ、国が定めた戦略目標の達成に向けた目的志向型の基礎研究を推進するための研究助成制度で、国内で最も評価の高い大型研究助成制度のひとつです。この制度は、日本科学技術振興機構(URL下記) によって運営され、公募型研究には、チーム型研究を行う「CREST」タイプと、個人型研究をおこなう「さきがけ」タイプ があります。
 このうち、「さきがけ」タイプに採択された研究者は、研究総括のマネージメントのもと、研究総括・領域アドバイザーの助言を得て、同じ研究領域に集まった様々な機関やバックグラウンドの研究者と交流・触発しながら、個人が独立した研究を推進することになります。詳細は日本科学技術振興機構をご覧下さい。
宮丸先生ほか「個人型研究さきがけ」の研究領域「光の創成・操作と展開」に採択された面々を紹介したパンフレット

  ● 関連WEBサイト ●

 
日本科学技術振興機構 http://www.jst.go.jp/kisoken
さきがけ http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/
信大理学部物理科学科テラヘルツ分光研究室 http://science.shinshu-u.ac.jp/~thz/
武田三男教授の「フォトニックフラクタル」に関する報道 pages/takeda01.html


 


●「信州大学物理同窓会」事務局●

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